【お役立ち情報】印刷用入稿データのキホン
印刷会社に印刷物を発注する際は、「完全データ」での入稿が一般的です。完全データとは、印刷会社での手直しなしでそのまま印刷・加工作業に入れるデータ、つまり不備の一切ないデータを指します。
入稿データに不備があると、お客様のイメージと違う仕上がりの印刷物になってしまったり、印刷開始前に確認や修正などが入れば納期が遅れてしまったりするため、不備のないデータで入稿することは非常に重要です。
しかし、印刷データには解像度やトンボといったチェックポイントが多数存在するため、わからない方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では、印刷の注文から納品までをスムーズに行うために大切な、入稿データのチェックポイントについてご紹介します。
サイズ・トンボ・天地の確認
仕上りサイズと塗り足しについて
入稿データは紙のサイズに合わせて作るのが基本です。紙のサイズには規格があり、大きく分けてA判とB判があります。コピー機等で一般的なサイズはA4やB5です。発注する印刷物の仕上りサイズと、入稿データのサイズが合っているかどうかをチェックします。
通常の印刷は、仕上がりサイズの用紙に印刷しているのではなく、大きな紙に印刷した後で、「断裁」という作業を行って仕上がりサイズに切揃えています。
この断裁をする時にズレが出ないように注意してカットするのですが、一度に大量の印刷物を断裁するため、断裁時の刃先の微妙な流れに影響されたり、紙の収縮などが原因で1〜2mm程度断裁ズレが起こる場合があります。
ですので、切れては困るような内容、特に小さな文字などは仕上がりサイズから3mm程度内側に配置し、フチなし印刷(紙の端まで印刷)の場合は外側に3mm程度の塗り足しを付けます。こうすることで、万が一、断裁位置がズレた場合でも、文字が切れて文章がおかしくなったり、フチなし印刷に白い余白が出たりすることを防げます。
例)A4サイズ(210×297mm)に3mmの塗り足しが必要な場合の原稿サイズは、上下左右に3mmずつ足した216×303mmとなります。
トンボについて
トンボとは、用紙を裁断する際に必要な目印となるマークです。このトンボがないと、印刷物の範囲が分かりません。どこからどこまで印刷すれば良いデータなのかが分かるように、必ずトンボはいれておきます。上述した塗り足しを作るときの目安にもなります。
天・地について
天地とは、印刷物の縦の寸法を表す用語です。その名の通り印刷物の天(上部)と地(下部)のことです。見た目だけでは上下を判断するのが難しいデザインもあるため、データには必ず「天」、「地」と指示を入れ、データの正しい向きを指示することが必要になります。
片面印刷のチラシなどであれば特に気にしなくても問題ありませんが、両面印刷の冊子や折りパンフレットの場合に間違えると大変なことになりかねません。天地を合わせたデータになっているか、開き方は正しく指示されているかなどを確認します。
フォント・画像の確認
フォントのアウトライン化について
フォントのアウトライン化とは、文字が図形と認識されるようにする処理のことです。
データを作成したPC以外のPCで開くと、インストールされているフォントがないなどの理由から、文字化けや文字位置のズレなどが発生します。「アウトラインを作成」をすることで、文字が図形として認識され、別の環境のPCでも正しく表示することができます。
注意点として、一旦アウトライン化したデータをテキストデータに戻すことはできません。入稿後もテキストを編集できるようにしておきたい場合は、アウトライン化する前のデータを残しておくことをお勧めします。
PDFで入稿する場合は、フォントを「エンベット(埋め込み)」することで、アウトライン化しなくてもフォントを再現できます。フォントの情報をPDFのファイル自体に埋め込むことで、環境が違うPCでも制作時と同じ状態で再現されるという設定です。
フォントが埋め込まれているかは、PDFのデータを開き、メニューのファイル>プロパティのフォントのタブを選択すると確認する事ができます。各フォント名の横に「埋め込みサブセット」と表示されていればOKです。
特に、Microsoft Office(ワード・パワーポイントなど)で作成されたデータを印刷する場合は、フォント埋め込みのPDFに変換することを強くお勧めします。
使用画像について
画像の精細さを表す数値を「解像度」といいます。単位はdpi(dots per inch)またはppi(pixel per inch)で、これは1インチの中に点がいくつあるかを示しています。表記は違いますが、基本的に同じものと捉えていただいてかまいません。
画像解像度の数値が高いほど、ドットは小さくなるため、画質はきめ細やかで美しい画質になります。逆に数値が低いとドットは大きくなり、画質は粗くなりますが、その分ファイルサイズが軽くなる、といったメリットもあります。
印刷物には適した解像度があり、低いと粗くぼやけたりかすんだ画像となり、また高すぎても出力機器の性能が追いつかず、きれいに印刷されません。一般的な印刷用の適正な解像度は100%の大きさで350~400ppi が推奨されています。適切な解像度の画像を縮小、拡大することでも解像度は変動します。拡大をすると解像度は下がり、縮小すると解像度は上がります。
縮小しても、もともと粗いデータの場合、鮮明になることはありません。解像度が上がりすぎても品質が損なわれるため、適切にリサイズをし、使用する100%のサイズで300〜400ppiを目安にし拡大は〜130%くらい、縮小は〜70%くらいが理想です。
データの保存形式の確認
印刷会社によって、取り扱っているデータ形式が違うので、必ず入稿前に確認します。アプリケーション(ソフト)によっては、バージョンが違うと開けなかったり、レイアウトが崩れたりする場合もあります。データ形式以外にも制作環境がWindowsなのかMacなのか、アプリケーションのバージョンまで確認する必要があります。
上記「フォントのアウトライン化について」でも触れましたが、PDFはPCにアプリケーションやフォントがインストールされていなくても、データを作成した時と同じように見ることができ、制作環境やアプリのバージョンにも左右されない、簡単で確実なデータ形式です。
最近は高品質なPDFファイルが手軽に作れるようになり、PCも容量の大きい単一ファイルを開けるようになったので、印刷の入稿ファイル形式もPDFが主流になりつつあります。
今回は、印刷の入稿データについて基本的な紹介をしました。
印刷物がチラシやポスターなどの1枚ものか、雑誌やテキストなどの冊子かにもよってデータの作り方や注意点も変わってきます。
MBEの各種印刷サービスでは、専門のスタッフが印刷枚数や納期、用途に合わせて、最適な印刷方法をご提案させていただきます。お気軽にご相談ください。
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